著上間陽子「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」
最近、日曜になると近くの市立図書館まで歩いて本を借りに行ったり、返しに行ったりしている。
近頃組織論に興味をもってその本を借りて読んでいたのだけれど、あまりの分厚さに圧倒されてなかなか読み切ることができなかった。そんな時、ふとマンスプレイニングという言葉を生み出した(正確には生まれるきっかけを作った)本の存在(”Men Explain things to Me”のこと)を思い出し、ネットで検索したらこれも市立図書館にあるということで早速借りにいった。
私は仕事の関係で地方都市に居住しているが、こんな地方市立図書館でも「読みたい!」と思った本が代替いつもきちんとそこにあるのはなんとも有難い話だと思う。
それで、”Men Explain things to Me”を借りにいった時に、その本と同じ棚にあったのがこの本である。大学院の授業でこの著者について紹介があったことを思い出して、興味をもち借りてみたというのが事の顛末。
本を読み、本当に同じ世界で生きているのかと疑うほどに、
この本で登場してくる実在する人物の女の子たちの周りには、『暴力』が溢れている。
それは、殴る・蹴るといった『暴力』はもちろんのこと、
強姦といったいわゆる『性暴力』などありとあらゆる携帯の『暴力』がそこに溢れていて。
20歳にもならない若い、日本の、沖縄の女の子たちがその『暴力』の渦に巻き込まれている。
ページをめくり、次の女の子の話がでてくるが、大体その子たちは若い年で子どもを産み、そしてそのパートナーと別れている。どの子もどの子も、だ。
ふと、昨年夏の休暇を使って友人と沖縄に行ったことを思い出した。
那覇市で宿泊したホテルは繁華街の少し外れたところにあって、人目で治安があまり良くないと思った。ホテルの、私が泊まる部屋から見下ろしたそこには、灰色の雑然とした路地とギラついたネオンの看板が並んであった。
あの日、私が見下ろしたあの路地裏の世界で、この本に出て来る女の子たちは生きているのだろうかとふと考えた。
「その身体が、おさえつけられ、なぐられ、懇願しても泣き叫んでもそれがやまぬ状況、それは、暴力が行使されたときだ。そのため暴力を受けるということは、そのひとが自分を大切に思う気持ちを徹底的に破壊していまう。」 p.6 「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」(2017) 上間陽子
「暴力はさまざまなものに姿を変えるが、弱いものの身体に照準を合わせて姿をあらわす。暴力は循環し、世代を超えて連鎖する」 p.7 同上
この本に出てくるストーリーは幾つかある。
勿論、登場人物はそれぞれに違う。
そこの話の内容だって異なる。
けれど、登場人物たちの境遇や属性はあまりにも似通っている。
未成年での妊娠と出産、家族からの暴力、配偶者・彼氏からの暴力、そして貧困
それらは全て、何度も再生産されて次の世代にも引き継がれていく。